日本酒の造り方で山廃仕込みって知っているでしょうか?
またどんな味わいか想像できますか?
日本酒造りには、酒造好適米と呼ばれる普通に食べるお米と違うタイプのものを使います。
このお米は酒米といい、お米の中心にある心白が大きく、デンプンがたっぷりです。
このお米を精米し、洗い、そして蒸す。
そして麹造り、酒母造り、本仕込み、しぼり、火入れ、貯蔵、瓶詰め、製品、という一連の流れで日本酒は造られます。
この中で一番大切なのが、麹造り。
一に麹、二に酛(もと)、三につくり、と言われるほど麹造りがかなめです。
二番目の酛(もと)、酒母を造るときの方法の一つが、山廃仕込みです。
この山廃仕込みは、タンクの中に麹を入れ、そのあとに蒸した酒米を入れます。
そのあと生酛(きもと)造りだと酒米を溶かすために、何度も酛摺り(もとすり)をしますが、この作業が大変に重労働。
なぜ酛摺りをするの?
それは麹の中にいる酵母が健全に働き、アルコール発酵するためには乳酸が不可欠だから。
この乳酸、人工的に培養したものと、自然界のものがあります。
当然、自然界のものが丈夫なのですが、育てるのに通常の作りより2〜3倍も日数がかかります。
この酛摺り(山卸し)を行わないのが、「山卸しの作業を廃止する」、略して「山廃」仕込みと呼ばれるようになりました。
この方法で造る日本酒は味わいがとても濃厚になります。
そして鋭いキレ味に仕上がります。
今回は手間暇をかけて造られる山廃仕込みの大御所の蔵元が造る「常きげん 山廃仕込み 純米酒」を口コミレビューします。
常きげん 山廃仕込 純米酒に合わせるなら酢豚がオススメ

もしこの「常きげん 山廃仕込 純米酒」を買って飲んでみようかな?と考えていたら。
合わせるのは中華料理の定番、酢豚がオススメです。
酢豚には普通、生ビールかレモンサワーなどの酎ハイ。
あとは紹興酒を合わせるのが定番かと思います。
中華料理と日本酒?
合うわけないんじゃない?
と考えているかも。
しかしそれは飲まず嫌いなだけの偏見かもしれませんよ。
酢豚、豚肉、人参、玉ねぎ、ピーマンという材料を使って作る料理。
酸味と甘さのある甘酢あんがからまって、見た目にもおいしい定番料理ですよね。
このパンチのある味わいの料理には、パンチのあるお酒がよく合います。
生ビールだとサッパリと脂を流し込む感じになりますが、濃いお酒だと味わいがさらに膨らみうまさが倍増するのが期待できます。
そこでこの「常きげん 山廃仕込み 純米酒」が登場。
アミノ酸がたっぷりあるので、濃厚で腰が強く太い味わい。
そしてスパッと切れるあと口。
味わいとしては中辛口になります。
自然の力を使ってできたので酒質はとてもなめらか。
お酒が食事のじゃまをしないで一体となって、食べていて幸せに包まれる、そんなひとときが過ごせることうけあいです。
常きげん 山廃仕込 純米酒のオススメの飲み方は?

常きげん 山廃仕込 純米酒、ひや(常温)かぬる燗(40〜50度)で飲むのがオススメです。
50度以上だと、香りに甘さが出てきてずっと飲むのはつらいかもしれません。
徳利から程よく湯気が立って、手で下を触っても熱くなくちょうどいい温度が香りもちょうどよく、味わいも幅が出てやわらかくなり、飲み頃です。
ここでお燗にすると良い理由:
1お米や酵母が作る香りがより感じられるから。
ただしあまり高温にすると香りがたちすぎ、味わいのバランスがくずれます。
2また人の味覚が温度による影響を多く受けるから。
味覚は、甘味・酸味・塩辛味・苦味・旨味の“五元味”が基本味。
日本酒は、原料に塩を使わないので塩辛味はないですが、そのかわりに“渋味”というのが入ってきます。
苦味と渋味は温度が上がることで味の強さは抑えられ、酸味はほとんど変化しません。
燗をつけると甘味は際立って、苦味や渋味の感覚は弱くなり飲みやすくなります。
これが燗酒がうまい、最大の理由です。

3アルコールの吸収が早いので、量を飲みすぎない。
飲みすぎないので適量でほろ酔いになり、翌日二日酔いになりません。
常きげん 山廃仕込 純米酒がオススメの理由

オススメの理由、それは山廃仕込みの第一人者がいた蔵で造られているから。
以前に「酒造りの神様」の異名を持つ日本でもっとも有名な杜氏のひとり、農口尚彦氏(84)が在籍していました。
この農口杜氏、1961年から1997年まで超有名な菊姫合資会社の杜氏でした。
定年退職後の2年目に、当時経営が苦しかったこの鹿野酒造株式会社の杜氏に就任。
蔵の経営を持ち直しました。
現在は、農口尚彦研究所を2017年に開業。
ご自身の生き様を見せながら、次世代に育成に励んでいます。
常きげん 山廃仕込 純米酒は石川県加賀市にある鹿野酒造株式会社で

鹿野酒造株式会社は創業文政2年(1819年)。
原料の米は自社栽培、酒蔵近くにある蓮如上人ゆかりの「白水の井戸」の伏流名水を仕込み水として使用しています。
この蔵のお酒で「Kiss of Fire」という洒落た名前の日本酒がありますが、以前に有名ブランドの「ルイヴィトン」のニューイヤーパーティーにも使われたことがあるとか。
世界が農口尚彦杜氏を絶賛したきっかけになりました。
まとめ
常きげん 山廃仕込 純米酒の詳しいデータなど:
■内容量:720ml
■原材料:米、米麹
■アレルギー表示:なし
■使用米:五百万石
■アルコール度数:17度
■精米歩合:65%
■酸度:1.8
■日本酒度:+3.0
■賞味期限:製造日より1年間
■原産国:日本
■保管上の注意:直射日光は避け、冷暗所にて保存してください。
はじめずポイント:
農口尚彦杜氏に数年前、取引のある酒問屋が主催する展示会でお会いしたことがあります。
その名前は日本酒を勉強したことがある人なら、まさに神様の名前。
ご本人が目の前にいるだけで鳥肌ものでした。
柔らかさのある表情でしたが、ちらほら見える強さも感じられそこだけ空気が違ったのを覚えています。]]>